ふじさんネットワーク 富士山憲章制定10周年記念シンポジウム

第2部 分科会 
  第2部では、テーマ別に3つの分科会を行い、富士山憲章制定後の10年を振り返り、各団体が実践してきた取組を報告してもらうとともに、今後の富士山保全のあり方についての議論を行いました。

第1分科会『水・湧水の保全と活用』
 第1分科会では、富士山の水や湧水の保全とその利活用について、柿田川での取り組みを中心に、行政・企業・環境保全団体のそれぞれの立場から報告いただき、これまでの取組と今後の課題について議論しました。
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分科会報告:
漆畑信昭(ふじさんネットワーク副会長・(財)柿田川みどりのトラスト会長)
『柿田川の管理』 宮武裕昭 (国土交通省沼津河川国道事務所所長)
『水・湧水の保全』 梅原 淳 (特種製紙(株)常務執行役員技術本部長)
『富士山湧水の現状と課題』 渡辺敏彦((財)柿田川みどりのトラスト専務理事)
第1分科会『水・湧水の保全と活用』 宮武氏からは、防災と環境の両面に配慮した河川整備や、昭和38年から行っている湧水量調査の結果などが報告されました。
 梅原氏からは、地元企業として排水の浄化処理の向上や節水対策、湧水地保全、雨水浸透による地下水涵養の取組などについて報告がありました。
渡辺氏からは、環境保全団体の立場から、富士山の湧水の現状が厳しい状況であることを「小浜池」や「源平川」など実例を挙げ紹介されたほか、水源林涵養林への植樹活動など保全の取組が紹介され、湧水保全の必要性が強調されました。
これまでの各関係者の取組により水質改善、湧水減少抑止など効果を挙げてきたところであり、今後より進んだ富士山の地下水保全を進めて行くためには、水収支の実態把握とすべての関係者が集う協議会の設置、法整備等、行政・企業・住民が一体となって保全に取り組んでいく必要があり、それを実行に移すことが重要との意見でまとめられました。

第2分科会『自然と景観の保全』
第2分科会では、実際に富士山をフィールドとして自然林復元や人工林整備、マナー啓発に携わっている方々より現状の取組を報告していただきました。
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分科会報告:
仁藤 浪(ふじさんネットワーク副会長・NPO法人富士山自然の森づくり理事長)
『富士山自然の森づくりの現状と課題』 中島利男
         (NPO法人富士山自然の森づくり副理事長)
『富士山エコレンジャー活動状況』 大川康晴
         (富士山エコレンジャー連絡会副会長)
『富士山南麓における民有林整備の現状』 大久保公雄
            (富士森林組合代表理事専務)
第2分科会『自然と景観の保全』 中島氏からは、ボランティアによる平成8年台風による風倒被害跡地での自然林復元活動の取組の様子や、現在の富士山の森づくりの課題となっているニホンジカの食害への対策に向けた取組などが報告されました。
 大久保氏からは、平成18年度から導入された「森づくり県民税」を充当した「森の力再生事業」による荒廃森林整備の取組について報告があり、その手法や効果のほか、森林所有者の取りまとめや維持管理などの課題について報告がありました。
 大川氏からは、富士山エコレンジャー活動を通して近年の登山者増加と集中による車道や登山道の渋滞などの問題のほか、落書きやテントの設置、オフロード車の乗り入れによる植生破壊、山麓での不法投棄などが未だに発生している状況や、増加する外国人登山者のマナーの問題など様々な状況は報告され、富士山ルールの制定やマナー啓発の強化、国際化への対応など数多くの意見が出されました。
 今後は、法的に定かでない部分の整理をしつつ、官民一緒になって富士山の環境保全と自然再生活動に結びつけるような富士山ルールの制定なども必要としてまとめられました。

第3分科会『観光と環境保全』
第3分科会では、現在の富士山観光の現状と10年間の経過を整理しながら、今後目指すべき方向性を議論していただきました。
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分科会報告:
山田辰美(ふじさんネットワーク副会長・富士常葉大学環境防災学部教授)
『富士山の登山者数について』 曽宮和夫(環境省箱根自然環境事務所所長)
『富士山の観光と環境保全』 井口一治
        (クラブツーリズム(株)クラブ1000推進部販売課長)
『富士山の環境と観光―5年前・5年後―』 上幸雄(NPO法人山のECHO)
第3分科会『観光と環境保全』 曽宮氏からは、平成16年度から環境省で実施している登山者数調査の結果について報告があり、登山者数は増加の傾向にあり、平成20年度は最多の30万人超であったことが報告されました。井口氏からは、観光業界の取組として、初心者登山者への富士登山説明会の開催や、ゴミ拾いツアーなどの取組が報告されました。上氏からは、この10年でトイレ問題は相当解決されたが、維持管理や9月以降のトイレの問題など課題は残っているとの報告のほか、富士山は外国人や初心者が登る山であり、登山や日本の印象を持っていく重要な役割を担っているとの指摘もありました。
 富士山の登山の特徴として、集団登山、初心者登山、集中登山、国際登山といった4つがあげられる中、特に集中登山の問題に対し、時間、季節、場所を分散化させていくことにより、富士山の自然を様々な角度から楽しめる、本来望ましい登山のあり方、本当の意味でのエコツーリズムにつなげていくことが必要との意見がまとめられました。


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